国民の生活が第一の政治を実現しよう!@千葉
経済成長実現には安定した雇用の拡大と、国民所得増が必要
2014年10月30日 18:47玉城デニー幹事長代理 衆議院本会議質問(2014年10月28日)
10月28日衆議院本会議にて、内閣提出の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(労働者派遣法改正案)」について、塩崎厚生労働大臣から趣旨説明があり、これに対し党を代表して玉城デニー幹事長代理が質問に立ちました。
質疑全文は以下の通りです。
【 賛成討論全文 】
生活の党の玉城デニーです。私は、ただ今提案のありました同法律案について、生活の党を代表して質問いたします。
内閣府が本年2月に発表している報告書によりますと、現在の我が国における総人口は2012年の1億2千7百52万人をピークに減少が続くとされ、それに合わせた合計特殊出生率は2012年で1.41です。2030年に合計特殊出生率が2.1程度に回復した場合においてもこのまま人口減少が続くとする推計が載っています。「少子化対策が急務であり、人口減少に対応した経済社会づくりが必要」との記述もされています。
総務省が作成した「生産年齢人口と高齢化」のグラフを見ても、15歳から64歳までの生産年齢人口の割合は大幅に減少する一方で、0歳から14歳人口は2040年頃には約1千万人、人口全体の6%弱となり、減少傾向は全体の人口減少に比例して緩やかに下がり続けていくと推計されています。
さらに、2060年には65歳以上人口が全体の40%に達すると記述され、少子化と超高齢社会の将来不安はどのデータを見ても簡単に払拭できる状況ではないことが明らかとなっています。
冒頭でも紹介した「人口減少に対応した経済社会づくり」への根本的な対策とは、「安定した収入があって将来への人生設計が描けること」であり、最小限の社会基盤である「家庭が営めること」にあるのではないでしょうか。
「安定雇用」「安定収入」という就労環境が整っていることは当然として、さらに「技術・能力に応じた高い収入」「希望するキャリアへの可能なステップアップ」などを働きながら実感できているならば、結婚も希望できる人生設計への期待が湧き、子供を生んで育てるという、社会基盤の最小限の形が、それぞれに望まれるように実現できるのです。今回の改正法だけでなく、労働法制全体の改善が「誰のために」「何のために」という根本的な目的・目標を明確にすることが重要であり、少子化に歯止めをかける手段にしていくべきです。その点を踏まえつつ、以下、質問させていただきます。
今回提出された、いわゆる労働者派遣法改正案はまず、働く労働者側のどの様な立場や視点に立って行われるものであるか、働く側の環境をどのように安定させることになるのか、そして、深刻な状況にある我国の少子化対策へどのように貢献しようとするものであるか、安倍総理の見解を伺います。
今回の法案では、派遣労働者が、派遣先の同じ職場で働ける期間を3年までとする「個人単位の期間」制限が設けられました。そもそも派遣労働は、臨時的、一時的、専門的な働き方として定められたものですが、今回の改正案では、そこで雇用する人=派遣される労働者を入れ替えれば、さらに3年間の派遣労働者を受け入れることが可能となっています。
この点をみる限り、本改正法案は働く側の利点ではなく、むしろ使用する側に雇用調整が利きやすくなるとしか思えません。その派遣先では、人さえ変えれば永続的に派遣労働を受け入れられることになるので、使う側にとって実に都合のいい条件が与えられてしまうのではありませんか。見解を伺います。
法案では、これまで3年を超える派遣が可能だった特定26業種についてもその特例を廃止して、他の業種と同様に3年間の期限をつけることになっています。その廃止する理由として「分かりにくい等の課題があること」と、かなり抽象的な理由を挙げていますが、「なぜ当初は26業種を特例としたのか」そしてその特例26業種を改正法案でなぜ期間制限なしの特例を廃止することにしたのか、説明をお願いいたします。
この特例26業種にある「期間制限なしとする長期にわたって働けるシステム」こそ、働く側にとっての基本的な安定的雇用環境なのであり、その職場における様々な経験則の積み重ねや、専門分野のさらなる能力の向上に自ら取り組むといった努力姿勢などを鑑みれば、派遣先企業へ貢献する上でも、充分に有意義な雇用条件となっていたはずです。
しかし、どの業種も一切区分せず一律に派遣期限を設定するということは、専門的あるいは相当に高い技術を有する労働者にとっては雇用環境の悪化でしかありません。通訳やプログラミングなどの高い技能を持っていても、処遇改善につながるどころか、安心して働けないということになってしまったら、全体のモチベーションが低下するだけでなく、専門的技術者の教育・育成・人材確保など、将来へ渡る様々な政策の取り組みへも大きな影響を及ぼしかねません。
その様な影響や懸念をどのように捉えているのか、見解を伺います。
そして、この改正法案のどの部分において、同一労働同一賃金の原則、均等待遇の原則の実効性を担保しているか、明確にお答えいただきたいと思います。
持続的な経済成長を実現するためには、国内総生産の6割を占める個人消費をいかに高めるかがカギとなります。そのためには安定した雇用の拡大によって、国民所得を増やしていく必要があります。しかし安倍政権は、既に4割近い非正規雇用をさらに増大させようとしており、国民の雇用不安の拡大、所得の減少、生活の不安定を広げ内需をますます冷え込ませ、成長実現どころではないというのが実態です。
現下の経済問題を解決するには、安倍政権が推進しようとする非正規社員を増やす政策を抜本的に改めることです。わが国における深刻な少子化を救うための政治手段とは、社会へ貢献するために安心して働き、愛情を持って家族を養い、自らも生きがいを持って目標高く成長しようとする、おひとりおひとりの国民を、真剣に、温かく支えてゆく政策に求められているのではないでしょうか。
そのための一助となるべく、生活の党は今般、雇用安定化対策本部を設置いたしました。労働者の生活を守るための取り組みや、非正規雇用の正規化推進に向けても、野党各党の協力をお願いし、その取り組みに全力を注いでいくことを申し上げ、私の質問を終わります。
ニフェーデービタン。
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