国民の生活が第一の政治を実現しよう!@千葉


現在の経済政策を軌道修正し、国民所得を増やし、内需の底上げを目指すべき

2014年10月08日 20:58

鈴木克昌代表代行・幹事長 衆議院本会議代表質問(2014年10月1日)

10月1日、衆議院本会議にて前日に行われた安倍総理の所信表明演説に対する代表質問が行われ、生活の党を代表して鈴木克昌代表代行・幹事長が登壇しました。質問全文は以下の通りです。

【質疑全文】

私は生活の党を代表して、安倍総理の所信表明演説に関して人口減少、地域活性化、景気悪化、集団的自衛権、北東アジア外交の5つの問題を中心に質問致します。
質問に先立ちまして、去る9月27日に発生した御嶽山の噴火及び去る8月に広島市での大規模な土砂災害をはじめとする全国各地に甚大な被害をもたらした「平成26年8月豪雨」によってお亡くなりになられた方々に対し、深く哀悼の意を表します。また、ご遺族の皆様並びに被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
御嶽山においては、今なお懸命な救出活動が続いております。行方不明の方々の一刻も早い救出と無事をお祈り申し上げるとともに、政府においても、関係者と協力して救出に全力を挙げるよう要請いたします。

○ 人口減少克服と地域活性化策について

さて質問の第一は人口減少問題です。国立社会保障・人口問題研究所では、西暦3000年に日本人はこの世にいなくなるという衝撃的な推計を公表しています。この問題は国家存続にかかわる最重要課題であり、国が率先して取り組まなければなりません。その解決に向けた王道は、国民が所得減少と雇用不安という日々の生活不安から解放され、安心して子供を産み、子育て、教育に力を注ぐことのできる環境を、国が責任をもって整える政策を確立することにあると考えます。
フランスでは1990年代半ばに出生率が過去最低の1.65人に低下したものの、シラク3原則のように各種の子ども手当や家族手当、出産・育児優遇の税制を整備した結果、出生率が飛躍的に向上し、2.0人を超えるまでになりました。日本でも2009年に民主党が政権を取ったときのマニフェストには、子ども手当の創設が明記されました。
しかし、その子ども手当も自民党政権に戻ったとたんになくなってしまいました。財源がないと言われますが、官僚利権などへの資金配分を排除するなどして、国民の生活を第一とする施策にこそ財政資金を優先して配分するべきです。少子高齢化・人口問題の解決には、フランスの例をみても分かる通り、子ども手当を復活させることが一番であります。
一方で女性が子どもを産み、育てていくための環境整備を図っていくことも重要です。待機児童はいまだ2万人以上おり、また、親が安心して子どもを預けるためには保育士等の質の向上も重要な問題です。保育所など子どもを預けられる施設の量的・質的面の更なる充実が必要です。また、子どもに手がかからなくなったらもう一度働きたいという女性は多いので、女性が職場復帰・再就職しやすい社会システムも導入すべきです。
人口問題を解決するために必要不可欠なもうひとつの条件は、格差の拡大、新しい貧困問題の拡大に歯止めをかけることです。非正規雇用労働者が労働者全体の37%を占め、一生懸命働いても年収が200万円に届かないという、いわゆるワーキングプアと呼ばれる労働者が1000万人を突破している中、その拡大を放置していては、出生率の上昇を見込むことはできません。若い人たちが安心して働くことができ、しかも、子どもを生み、育てることに自信を持てる経済環境を創り出すことこそ、人口問題への対応の第一歩であるべきです。
また、「地域のことはその地域にお金も権限も任せる」といった大胆な改革を行わない限り地方振興は実現できません。特に官僚支配の源泉となっている税金の徴収権と配分権を地方に移譲することが肝要です。紐付きの「補助金」を廃止して、各自治体が自らの意志で自由に使える「自主財源」として交付すべきです。このための財源として、平成26年度予算でいうと、「直接の政策経費」56兆4697億円から無駄を2割省くことができれば、11兆円を捻出することができます。
予算が紐付きでなくなることで柔軟性が生まれ、地域の伝統的な文化や技術を活かした特徴ある産業も生まれ、そこに新たな雇用が生まれます。また、権限が地方に移譲されれば企業も東京にいる必然性は薄れ、土地・人件費のトータルコストが割安である地方での立地が必ず広がります。このことが、若年層の雇用拡大・地域への定着を促進し、地方の活性化をもたらします。
地方分権・地域主権のメリットはこれだけではありません。地域の実情にあった地産地消を基本とする新しいエネルギー政策を各自治体が推進することで、脱原発を、より現実的なものにすることができます。太陽、風力など再生可能エネルギーを中心に据えた新しいエネルギー政策が、地域に新しい産業と雇用を生むことにもなります。
財政の地方自治権を拡大することを軸に地方分権を大胆に推進することにより、地域は活性化され、それが人口減少問題克服の重要な糸口になるはずです。日本全国の各地域の均衡ある発展、活性化が広がることは、地方を元気にするだけでなく、停滞している日本全体の活力を生み出す源泉になるものと考えます。安倍総理、このような真の地方分権こそ、少子化と地方低迷の問題を解決する抜本策ではないでしょうか。総理のご所見を伺います。

○ 内需主導の経済政策への転換

次に経済について伺います。本年4月から6月期のGDP(国内総生産)は、年率換算で7.1%の大幅減となり、これ以外でも各種経済指標が軒並み悪化し、日本経済崩壊の懸念が国内外で指摘されています。
GDPが予想以上に落ち込んだのは消費税増税の影響ももちろんありますが、それだけが原因ではありません。日本のGDPの6割を個人消費が占めていますが、その国民の大多数の所得が平成8年をピークに減り続けているわけですから、GDPが拡大するはずがありません。
安倍政権が推し進める物価高、すなわちインフレを良いものであるとする偏向した経済政策は、生産性の高い、競争力のある大企業の利益成長を後押しして、その企業が拡大させた利益を国民に分配すれば国民全体の所得水準拡大に繋がるというものです。
今年の春闘でベースアップが観察されましたが、それは一部大企業のしかも正社員だけのことであり、それ以外の、全労働者の7割近くを占める中小企業の社員や、全国に約2千万人いる非正規社員はその恩恵に浴するに至っていません。さらに、消費税増税だけではなく、医療や年金などでは負担増と給付減が生活者の暮らしを容赦なく苦しいものにしています。
つまり、大多数の人にとってのアベノミクスとは、所得拡大を伴わない、単なる物価上昇・負担上昇だけをもたらす、百害あって一利のないものになっているというのが実態であります。7月の勤労者の現金給与総額は増加しましたが、一時的にボーナスが増えただけで所得環境の基調が好転したわけではありません。
このような経済環境にもかかわらず、安倍政権は消費税率をさらに8%から10%に引上げようとしています。消費税が上がれば、個人消費はますます冷え込み、さらにGDPを押し下げていくのは明らかです。安倍総理、このような景気状況の中、どの経済指標がどのような数値を示すなら、消費税再増税が可能であると判断するのか、具体的かつ明確なご見解を伺います。
また、安倍政権が後押しする円安政策の下でも輸出は伸びず、むしろ国内産業の空洞化が加速しています。自動車産業をはじめとする日本の輸出企業と呼ばれる大企業は、為替の影響を避け、利益を上げるために海外へ工場を移転してきました。国内で生産して海外へ輸出するという今までの貿易立国という形ではなく、外国で直接生産するスタイルが進んできたため、国内産業の空洞化が顕著になってきています。
アベノミクスは、こうした日本経済の構造変化を的確に捉えることができずに輸出を主導する大企業の短期的な利益拡大だけを支援しており、国内経済に新たな投資を呼び起こすための施策を提示したり、新たな国内需要を生み出すための新規産業を創出し、これを育成したりする経済政策をほとんど示していません。
その一方で、地方の、重要ではあるが競争力の乏しい農林漁業や零細な商工業などが、どんどん切り捨てられ弱体化し、内需がますます委縮、縮小しています。内需の縮小に歯止めをかける施策が示されぬなかで、企業の海外への転出がさらに進行し、国内産業の空洞化と内需減退がスパイラル的に進行するという悪循環が形成されてしまっています。
この状況が強まるなかで、安倍政権の拙劣な外交政策が日本と近隣諸国との経済関係を冷却化させて、2013年の日本から中国への輸出額は前年比8.7%減の約1620億ドル、貿易総額は2013年に5.1%減の約3130億ドルに落ち込んでしまいました。同年の韓国への輸出も前年比6.7%減の約600億ドル、貿易総額は8.2%減の約947億ドルへと落ち込んでいます。アジアの成長を取り込むと意気込みながら、日本の貿易相手国として第1位の中国、第4位の韓国との経済活動をこのように低迷させては、とても成長実現どころではありません。
これら一連の経済問題を解決するには、安倍内閣が推進している労働者の非正規化推進政策、非正規社員を増やす政策を抜本的に改めるべきです。また、先に述べましたように、中央に集中している財源と権限を地方に移譲し、中央集権から地方分権・地域主権へと、国家統治の基本を根本から改める必要があります。これらの施策により、国内雇用の拡大、家計所得の増大、内需の振興を実現していくことができます。内需拡大による成長実現こそが、国内産業の空洞化、輸出に振り回される日本経済の脆弱性を取り除く最良の方策であると考えます。
しかし、残念ながら安倍政権はこれとはまったく正反対の政策をとっています。日本は、一日も早く現在の経済政策を軌道修正し、雇用政策、税収再配分、産業政策などのすべての政策を総動員して、一人一人の国民所得を増やし、内需の底上げを図る方向を目指すべきではないでしょうか。総理のご所見を伺います。

○ 集団的自衛権と北東アジア外交問題

7月1日、安倍政権は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の閣議決定を行いました。これによって、我が国と直接かかわりのない国や地域の紛争に自衛隊を派遣することを可能にしようとしています。これは明らかに国是に反し、国民の生命と日本の将来を危うくする道であります。
まず、決定のあり方に問題があります。憲法は、日本が直接攻撃を受けた場合、すなわち正当防衛にのみ、自衛権の行使を許しています。それ以外の紛争に自衛隊を派遣するということは、憲法第9条で固く禁じられています。条文に書かれてないところに、解釈が生まれますが、憲法に集団的自衛権を認めない旨が明記されている以上、解釈する余地がありません。
今後、閣議決定に基づく憲法解釈の変更に基づく、集団的自衛権の行使として、海外に自衛隊を派遣するならば、それはもはや、日本において、憲法は有名無実であることを意味することになります。この点について、総理の見解を伺います。
さて、安倍政権は集団的自衛権の行使容認によって、日本をより安全かつ平和にできると強弁しています。しかし隣国である中国、韓国は、地域の緊張が高まると強い懸念を示しています。
私たち生活の党は、9月3日から5日まで日本の政党としては初めて、韓国で研修会を行いました。その目的は、安倍政権下で戦後最悪とも評されるほど日韓関係が冷え込む中、韓国の政治家や有識者らと直接対話し、相互理解と信頼関係を深め、日韓関係の正常化に少しでも貢献するためでありました。
セヌリ党代表をはじめ韓国の与野党の政治指導者は一致して、安倍総理の政治姿勢、歴史認識を批判していました。同時に日本と韓国との間には、長い友好交流の歴史があり、両国は民主主義と市場経済という普遍的価値で結ばれており、日韓の友好協力関係の発展は、両国、アジア、世界の平和と安定に不可欠であり、早期に関係改善すべきであるとの認識において、私どもと見解の一致を見ました。
ナチスドイツに占領されていたフランスも、現在はドイツと非常に仲良くやっています。かつて覇権争いをしてきたイギリスとフランスも、今では英仏海峡トンネルを掘ってドーバー海峡を越えてユーロスターで繋がっています。こうした仏独や英仏の関係に倣い、21世紀の日本も大きな視点に立って日韓関係を考えれば、必ず良い方向に向かっていくはずです。
1990年に訪日した盧泰愚(のてう)大統領が日本の国会で演説した際、「来る世紀には東京を出発した日本の青年が海底トンネルを通過して、ソウルの親友と一緒に北京とモスクワに、パリとロンドンに、大陸を結び世界をひとつに繋ぐ友情旅行を楽しむ時代を共に創造しましょう。」と述べました。私は今こそ、民族的、文化的、言語的にも最も近い隣国である韓国と日本は、このような夢を実現するためにお互いに力を尽くすべきではないでしょうか。韓国と中国との関係改善の進め方について、総理の見解をお伺いし、質問を終わります。

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