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特定秘密保護法の施行に当たって

2014年12月10日 00:15


本日、特定秘密保護法が施行された。国家の安全保障に関する重大な情報を厳重に管理することは、国家の存立にかかわる重要な課題であり、機密が必要な限りにおいて、守られなければならないことを否定するものではない。
しかし、本法は、憲法で保障された国民の知る権利、言論・表現の自由を制約し脅かすものになりかねない。「特定秘密」の範囲が広範かつ曖昧で、その指定も行政機関の長の裁量に委ねられるために、国民に知らせたくない情報を政府は恣意的に「特定秘密」として指定するおそれがある。
また、国会の行政に対する監視機能が空洞化するおそれが高い。国会には行政を監視する重要な責務がある。したがって、特定秘密保護法が施行されると、例外的な場合を除き、特定秘密が国会の国政調査の対象になる。しかし、本法施行にもかかわらず、国会に情報監視審査会が設置されておらず、特定秘密の指定の状況を監視できないという異常な事態にある。
さらに、違法行為の告発を目的として特定秘密に指定された情報を公開しようとした公務員、当該情報を得ようとした報道機関や国会議員、そして一般の国民さえも厳罰に処せられるおそれがある。また、何を特定秘密として指定したのかさえ永久に分からなくすることも可能である。このように情報公開制度を阻害するおそれが何ら払拭されていない。
権力は腐敗する。だからこそ、民主主義の根幹である国民の知る権利を最大限保障することによって権力は絶えず監視されなければならない。各国の秘密保全法制においては、徹底的な情報公開制度の整備が前提となっているが、我が国の情報公開制度は未だ不十分である。このような状況における本法の施行は、国民主権、民主主義の危機であり、到底容認できるものではない。

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